偶然の産物を意志で繋ぐ、おちあP流「AI楽曲ディレクション」の裏側公開
こんにちは、「🔵おちあP」です。
前回の記事では、AI楽曲を取り巻く環境やフォーマットの制限について、少し踏み込んだ話をしました。今回は、私が普段どのように「音」を組み立てているのか。いわば「おちあPの制作デスク」の裏側を少しだけ公開しようと思います。
「AIで曲を作る」と聞くと、多くの人は「プロンプトを入力して、出てきたファイルをそのまま書き出すだけ」というイメージを持つかもしれません。しかし、私の制作プロセスにおいて、生成ボタンを押す作業はあくまで「素材集め」に過ぎません。
偶然の産物を「意図」で繋ぎ合わせる
まずは、こちらの動画をご覧ください。これは楽曲の土台を構築している段階の画面です。
この段階ではまだトラック数も少なく、構造はシンプルです。Suno
AIで生成した複数の楽曲から、自分のイメージに近いフレーズや展開をピックアップし、それらを一つの時間軸に並べていきます。
ここで重要なのは、単に繋げるだけでなく「空気感」をコントロールすることです。例えば、場面が切り替わる瞬間にリバースシンバルを挿入したり、独自のSE(効果音)を重ねたりすることで、生成AI特有の「ぶつ切り感」を消し、一つの楽曲としての流れを作ります。この作業は、バラバラのピースを組み合わせて一つの絵を完成させる、コラージュに近い感覚かもしれません。
ディレクションという名の調律
続いて、作成中の楽曲「Prismatic
Pieces」の詳細なエディット中の画面の一部です。先ほどとは打って変わって、トラックが複雑に積み重なっているのが分かります。
ここが、私が「プロデューサー」として最も熱量を注ぐ工程です。
具体的には、Stem分離(ボーカル、ドラム、ベース、楽器などに音を分ける技術)を行い、それぞれの要素を解剖するように編集していきます。AIは時折、歌い出しのタイミングを間違えたり、発音を濁したりすることがあります。そうした「ミステイク」を一つずつ手作業でカットしたりそこだけ無音にして別トラックと合成して修正します。
Prismatic
Piecesでは発音ミスがあったので、そこを無音にして別途ブレス(息継ぎ)と差し替えて誤魔化したところがありました。
編集を加えてもどうしても発音ミスが治らないこともあります。Prismatic
Piecesでは最後の「忘れはしない~~」のところは直せなかったので諦めました。そういうこともあります。
当然何も考えずツギハギを単純にしただけでは4/4拍子が狂いますから聞いていてストレスのないように微細な調整もします。
さらに、バックのオケ(伴奏)が弱いと感じれば別のテイクから持ってきた音と入れ替え、サビの盛り上がりが足りなければリピートやエフェクトを駆使して展開を再構築します。Audacityでの精密なカッティングに加え、Adobe
Auditionを使用してコンプレッションや音圧の調整、そして楽曲全体の「隠し味」となるフレーズの味付けを行っています。
AIが吐き出したままの音をよしとせず、細部まで自分の意図を染み込ませていく。この「ディレクション」の積み重ねがあって初めて、それは「AIの曲」ではなく「おちあPの作品」になると考えています。
「道具」の先にある表現
私が楽曲を制作する際、ただデータを変換して公開することに興味はありません。その音が、そのリズムが、プレイする人の感情を揺さぶるかどうか。その一点において妥協したくないからです。
AIは強力なパートナーですが、彼らに「意思」はありません。どこで音を止め、どこで爆発させるか。その判断基準は、書き手である私自身の背景にある思想や、伝えたいメッセージに集約されます。
作成中の「Prismatic
Pieces」も、こうした泥臭い試行錯誤の果てに生まれた一曲です。もしどこかで耳にすることがあれば、「AIが作った」というレッテルを一度剥がして、その奥にある「意図」を感じ取っていただければ幸いです。
個人的な実感として少しずつエディットがうまくなってきたと思います。まだまだ伸びしろがありますが。
制作の解像度を上げる作業は、今日も続いています。
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